金利が下がれば株式市場にとって有利と聞いたことある人は多いのではないでしょうか。
金利が低いのであれば、銀行に預けるメリットもないため、株式市場に資金が集まりそうというのは感覚的にわかります。
今回は、「現在の米国の金利の状況と見通し」および「理論株価の公式を用いてグロース株とバリュー株に金利が与える影響」について調べてみました。ぜひ最後までご覧ください。
米国の金利の状況
米国債10年利回り

アメリカの名目金利の指標として1番意識されているのが米国債10年利回りです。2020年3月のコロナショックで低水準になって以来ずっと低い水準のままです。
理論株価の計算では、この指標を用いられるため、投資する上で重要な指標になります。
低金利の方が株式市場にとっては望ましい。特に高PSRのハイテクグロースセクターは金利の影響を大きく受ける。
FRBの金利政策
金利についての今後のシナリオを考えるにあたりアメリカ中央銀行であるFRBの政策について知る必要があります。
FRBのパウエル議長は、9月のFOMCで2023年までゼロ金利を維持すると見通し定め、その達成に向けて国債を無制限に購入すると発言してます。
つまり今の低金利の水準を保つためには何でもするということです。具体的には財政出動など行った際の国債を積極的に買い入れし、低い金利の状態を保つということです。
これが実施されれば、名目金利は低下する一方、通貨供給量の増加がインフレ期待を刺激し、実質金利を強力に押し下げることになります。
一般的にインフレは2%程度が好ましいとされており、2%が安定するまでは金利を上げないとも発言しております。なので実質金利は -1.0% ~ -1.5%で推移していくことが考えられます。
大規模な財政政策をすると国債の供給量が増えるるため、米国債の利回りは上昇圧力が強まる。FRBが国債を積極的に買うことで米国債利回りの上昇を抑止する。
金利と株価の関係
理論株価の公式
理論株価は以下の計算式で求めることができます。
- 1株利益 ➡ 対象企業のEPS
- 名目金利 ➡ 0.8%前後(米国債10年利回り)
- リスクプレミアム ➡ 6%前後(一般的に設定されている値)
- 成長率 ➡ 対象企業のEPS成長率
計算式から理論株価は名目金利が上昇すれば下落し、下落すれば上昇することがわかります。
金利上昇時の株価への影響
理論株価を用いてバリュー株とグロース株の金利上昇局面での株価への影響を計算してみましょう。
例)前提の数値は以下とする
・EPS:10円
・EPS成長率:2.0%
・リスクプレミアム:6.0%
■金利 0.5%
10 / (0.5% + 6.0% -2.0%)= 222円
■金利 1.5%
10 / (1.5% + 6.0% -2.0%)= 181円
➡ およそ19%の下落
例)前提の数値は以下とする
・EPS:10円
・EPS成長率:5.0%
・リスクプレミアム:6.0%
■金利 0.5%
10 / (0.5% + 6.0% -5.0%)= 666円
■金利 1.5%
10 / (1.5% + 6.0% -5.0%)= 400円
➡ およそ40%の下落
理論株価において成長率が2%の企業と5%の企業では、金利が0.5%から1%上がった際の株価の下落率に20%以上の差があります。
※計算をわかりやすくするために、成長率と金利のみを可変値としている点はご容赦ください。
まとめ
今回は理論株価の公式を用いて金利が上昇した際の影響を解説しました。
株価は色々なファンダメンタルを織り込み変動していくのでこの公式がすべてではありませんが、金利が株価に与える影響度は大きいということを理解いただければ幸いです。
また、成長率の高い企業ほど金利の影響を大きく受ける点も、理論株価を算出する上で大切なポイントになると思います。
以上です。
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